リンゴ・スターな人々

シリーズ・芸能界の光と影
文・構成:徳川夢精

 世の中には努力しても報われない者、素晴らしい才能を持っていながらも社会から認められずに終わる者など、不運な人間は数多い。いや、そうした人がほとんどなのかもしれない。それにもかかわらず、自らの努力・才能とは全く関係なくスターダムを駆け昇る人間がいる。たまたま所属していたグループが有名になったために自分も有名になってしまったという連中だ。そしてこうした連中のうち、自分以外のメンバーはみんな才能があり、確固たる地位を築いているという状態にある者を特に“リンゴ・スターな人々”と呼ぶのである。
 現在となっては全世界に数多く生息しているリンゴ・スターな人々であるが、1960年代前半にビートルズが現れるまでは全く存在していなかった。60年代以前のグループにおいては、脚光を浴びるのは中心となる1人かせいぜい2人であり、その他のメンバーは単にサポートしているにすぎなかった。ところがビートルズの登場以降、メンバー全員がそれぞれファンを獲得するという状況が多く見られるようになった。だがグループとしての活動というのはそう長く続くものではなく、やがては解散してしまうものである。そうなるとメンバー個人間の格差は露骨に現れてくる。そして、グループの中で1人だけ才能・人気に劣る者がいる場合は特に悲惨だ。これが20世紀最大の悲劇と言われるリンゴ・スターな人々の誕生である。
 しかし冷静に考えてみると、本当に悲劇と言えるのだろうか?長い目で見れば、ファンに追い回されることもなく、気楽に生きていける彼らのほうがよっぽど幸せなような気もする。もっと極論すれば、人気絶頂のおいしい時だけスターとして過ごし、その後は気楽に暮らす彼らは、世の中で最も恵まれた人々であると言えるかもしれない。


(転載者注:以下、写真キャプション)
リンゴ・スターな人の祖 リンゴ・スター
いくらリンゴ・スターな人だといっても、彼が属していたのはビートルズである。他のグループとはスケールが違う。だから彼は今でも「りんごすった」とか言うだけで小銭が稼げるのだ。よかったね。
木根尚登(元TMN)
やはり存在そのものが笑える木根さんは凄い。「存在そのものが笑える」というのはリンゴ・スターな人であるための重要な条件の一つである。余談だが、木根さんは筆者の自宅近くの公団住宅に住んでおり、昨年、参院選の投票所で目撃してしまった。
クロベエ(元チェッカーズのドラマー)
本名は徳永善哉。フミヤと高杢に車で拉致され、そのままメンバーになったらしい。彼は電化製品が好きで、よく秋葉原をウロウロしているそうだ。
アンドリュー・リッジリー(元ワム!のジョージ・マイケルじゃないほう)
そういえばこんな人もいたなというかんじである。たしか彼は俳優を目指すとか言っていたような気がするが、その後の消息は一切不明だ。
矢沢透(元アリスのドラマー)
君はアリスが3人組であったことを知っていたか?谷村新司と堀内孝雄のデュオではないのだ。矢沢はアリス解散後、焼鳥屋を始めたらしいが、くわしいことはよくわからない。
野村義男(元たのきんトリオ)
他の人々が思いがけず有名になってしまったのに対して、彼の場合、アイドルになるべく売り出されたのに、アイドルになり切れなかったわけで、やや性質が異なる。だが彼の醸し出すしょーもない雰囲気はリンゴ・スターな人そのものである。適当にギター弾いたり、野坂なつみと遊んだり、本当にいつも楽しそうだ。しかし、そんなんでいいのか?少しは働けよ。

☆これからやばそうな人たち☆


Wモン(ダチョウ倶楽部)