現在学内で確認できる新興宗教が、統一教会(慶應キャンパス新聞会、塾風編集委員会)、創価学会(第三文明研究会)、幸福の科学(エル、大川隆法著作研究会など)と多くあり、また、仏教、キリスト教に関しては道場やチャペルを置くのを許可するなど、宗教の存在にかけては、他私立大学より寛容な傾向にある慶應だが、 それに付け込むかのように、毎年無許可で布教を行う宗教が存在する。この記事はそういう団体の中で、ここ数年特に活発な勧誘活動をしている、神慈秀明会という団体に関しての警告である。

宗教勧誘に注意せよ!

どうやって勧誘されるのか?

 4月下旬から5月上旬にかけて、「5月大浄霊会」という名目で、神慈秀明会という団体が、大挙して勧誘(手かざし)をやりにやってくる。彼らの姿は一見して(軽蔑的な意味での)真面目な学生風、いわゆるジーパンにシャツやトレーナー(神慈秀明会のロゴが入っていることもある)、必ずといっていいほどショルダーバックを肩からかけていて、人を見かけると右手をあげて勧誘しに寄ってくる。
「あなたの健康と幸せを祈って……」
「今、浄霊というものをやっているんだけど……」
などなど、あなたもどこかで聞いたことがあるかもしれない言葉だ。
しかしまれに、「今、感想を聞いているんですが……」などど、かなりまぎらわしい声のかけかたをすることもある。
 ここでつかまってしまうと、最低1分間、たいてい3分間程度の「浄霊」を受けさせられる。「浄霊」とは、いわゆる手かざしのことである。声をかけられた場所、つまり路上でやられるのでかなり恥ずかしいことになる。
 さて、浄霊が終わると、相手はかるく感想を聞き、次に「もう少しきちんとお話ししませんか」という勧誘を行ってくる。回答を渋っていると、まわりから続々と信者が取り囲み、
「行かないと解放してもらえない」という気持ちにまでさせることもある。
日吉をはじめとする東横線沿線で勧誘されたときに連れて行かれるのは、新玉川線の桜新町駅。ここの近くに神慈秀明会の支部がある。
 ここに入る時には、名前と、住所、電話番号を書かされる(当然、今後関わり合いになりたくないなら、ここに本当の住所や電話番号を書いてはいけない)。また、お布施を払わなくてはいけない。1000円程度。「ない」と言っても、ただでは聞かせてもらえない(道場の掃除をさせられる)。ここで、お経巻を読み、また手かざしをされ、延々と話を聞かされることになる。
 さて、お話はこれで終わったわけではなく、次の日でも行われ(これを二講という、最初のは一講と呼ばれる)、それが終わると、滋賀県信楽町御苑の本部(信者は御苑(みその)と呼んでいる)に行き(三講と呼び、泊まりがけである)、入会させられることになる。入会金は4、5年前で3万円弱、現在では5万円弱で、ない場合には強引に立て替えられ、後から請求されることもある。そして、お経やお守りなどのグッズをもらうことになる。

信者には何が求められるのか?

  • まず、1日1食につき100円、つまり1月につき1万円弱の「亀の子献金」という献金が最低求められ、その後も何かにつけ、献金を求められる。銀行まで付いていって、金を下ろさせることもあるし、学校で金を貸しているところでは、その金を献金させることもある。
  • 聖教書という本を読む事を日課とし、朝晩に祝詞(のりと)をあげること、お守りを常に身に付けることを求められる。
  • 月に最低3日は支部に行かなくてはならず、そのうち1日は「秀勉」と呼ばれる勉強会で、長い時間がかかる。
  • 百浄霊(百人に浄霊をする)という名の駅前等での活動を始めとする勧誘を修行の一つとする。慶大生は、他大学(国学院大学など)に行かされて勧誘することも多い。

はまらないためにどうするか?

  • まず、勧誘に引っ掛からないこと。学外者の勧誘は、学生課の人も極力排除する方針であるから、解放してくれなくなりそうになったら、学生課に駆け込むのがいい(勧誘しているのは、必ず学外の学生である)。
  • 神慈秀明会は世界救世教から出た団体であるが、世界救世教とは仲が悪い。また、手かざしを行っている他の団体(真光(まひかり)など)とも仲があまりよくない。これらの団体の、その場限りのにわか信者になるという手もある。
  • 支部に連れて行かれても、絶対に自分の住所、電話番号は書かないこと。特に一人暮らしの女性などには、執拗な家庭訪問をすることも多い。書かない、というのは難しいので、適当に嘘の住所をでっち上げて書いてしまったほうが簡単。
  • 三講という名の合宿に行くと、入会しないのは困難であるので、絶対に行かないこと。また、二講に行った時点で、入会を勧められるので、入会したくないなら二講以降には絶対行かないこと。当然、「二講に行く」約束はブッチすることになるが。
  • 何か困ったことがあったら、早めに学生課に行って相談すること。神慈秀明会を始めとする宗教団体に関しては、学生課も対応しようとしている。


学外の宗教系団体が執拗な勧誘を行い、トラブルを惹き起こしているので、塾生諸君は十分注意すること。 学生部
(という掲示がよく貼られている。)

神慈秀明会についての基本データ

  • 1970年に世界救世教から分離、独立した団体で、代表は小山美秀子(みほこ)。祭神は大光明真神(みろくおおみかみ)。
  • 林真理子「紫色の場所」(角川文庫)はこの団体をモデルとしている。また、ドラマ「素顔のままで」(CX系)に出てきた宗教は、この団体をモデルにしたと言われている。
  • 他国立大学などには「祈りの会」という名前の信者サークルも存在した。
  • 過去に、元信者が団体を相手どって訴えたが、敗訴している。また、「被害者の会」といったものは存在していないようだ。


 ちなみに、1995年4月に、TBSがこの記事を撮影し、日曜6時の報道特集で「オウム真理教の勧誘への警告文章」として放送した。読んで頂ければわかると思うが、オウム真理教のことは一言もふれられていない。非常に遺憾である。
 このことでTBS報道部の担当プロデューサーに抗議したが、謝罪の意志は全くないとのこと。(ちなみに、このときの電話は録音している。)
 他にも報道特集のこの回では、担当プロデューサー個人宅への電話を録音し、TBS社への電話として事実に反する加工をするという編集も行われている。(この件の被害者は担当プロデューサーから謝罪されている)

iこの件の被害者は担当プロデューサーから謝罪されている)